修了「先ほど代表者に今年度の修了証を手渡しました。本日をもって、令和三年度の課程がすべて修了したということです。一年を振り返って、皆さんはどのような感想を持つでしょうか。卒業式での式辞では、四月からの一年を「激動」という言葉で表現しました。終わらないコロナとの戦い。そんな中で実施された東京オリンピック・パラリンピック。日本のかじ取りを左右する衆院選挙。年が改まってからの冬季オリンピック・パラリンピック。東北で起こった大地震。そして今も解決の見えない、国際間の争い。 混沌とした世界では、もう何が起こっても不思議ではないような状態です。 ではこのような状態で、私たちはいったい何を大切にしていかなければならないのか。こんな詩を思い浮かべました。川崎洋さんの「ウソ」という詩です。もしかしたら国語の授業で習ったかもしれないですね。 ウソという鳥がいます ウソではありません ホントです ホントという鳥はいませんが ウソをつくと エンマさまに舌を抜かれる なんてウソ まっかなウソ ウソをつかない人はいない というのはホントであり ホントだ というのはえてしてウソであり 冗談のようなホントがあり 涙ながらのウソがあって なにがホントで どれがウソやら そこで私はいつも 水をすくう形に両手のひらを重ね そっと息を吹きかけるのです このあたたかさだけは ウソではない と 自分でうなづくために 詩の解釈は人それぞれですが、私は、まず自分自身を信じよう、最も大切にすべきは自分自身なのだと読みます。自分を大切にできないものが他者に優しくなれるはずはありません。皆さんが自分を信じて大切にすることから始め、他者をも同じ存在として大事にしようとする、そんな輪が諸福中学校の中から広がっていくことを期待します。」 保護者、地域の皆様、この一年間、本校の学校運営にご理解ご協力賜り、本当にありがとうございました。コロナ下での制限、変更の繰り返しではありましたが、何とか無事に一年を過ごすことができ、深く感謝しております。今後とも、諸福中学校を強く支援していただきますようお願いいたします。 校門の桜が咲き始めました。春は確実にすぐそこまで来ています。子どもたちの未来が明るいものでありますように。ありがとうございました。 第40回 卒業式入学式で皆さんにお話ししたことを覚えていますか。「巡り会わせを大切にしよう」、「何かのせいにするのではなく、自立を目ざそう」ということでしたね。あれからもう三年が経ちます。立派に成長した皆さんの姿を見て、きっとこの三年間の中学生活で、この二つの項目は達成できたものと信じています。 さて、皆さんが諸福中学校三年生として過ごしたこの一年は、激動の年度となりました。長く続く新型コロナ感染症との戦いに始まり、一年延期となっていた東京オリンピック・パラリンピックの開催。秋には国政を左右する衆院選もありました。年が改まると、冬のオリンピックが中国北京で開催され、選手の活躍に喝さいが送られ、今、パラリンピックがそれに引き続いて実施されているところです。ところがスポーツと平和の祭典であるオリンピック・パラリンピックの開催期間にもかかわらず、世界を巻き込むような争いが勃発し、いまだに解決を見ないことは皆さんもよく知っている通りです。尊い命が失われ、子どもたちが路頭に迷う姿に胸が痛みます。 本来であれば、この晴れの日には明るい話で皆さんを送り出したいところですが、義務教育を終え、長い人生を歩んでいく上での土台となる力を備えたはずの今だからこそ、あえて世界の現実から目をそらさないでほしいと思うのです。 いつの世も、争いを始めるのは大人です。そしていつも犠牲になるのは子どもたち弱い者だと言われます。しかし、弱者として守られる存在だと思われている子どもたちこそ、未来を創る担い手でもあるのです。中学校を巣立っていく皆さんを子どもと呼ぶことが相応しいかはわかりませんが、それでも皆さんが希望の光であることに間違いはありません。 瓦礫となった建物を映像で見て、ふと壁に描かれた絵を思い浮かべました。兵士と思われる男が、武器ではなく、花束を投げようとしているものです。皆さんが大人として活躍する世界は、武器ではなく、花束が行きかうものであってほしい。暗闇ではなく光が、絶望ではなく希望が、そして涙ではなく笑顔が満ち溢れる世界が広がることを祈ります。ただし、そんな世界はただ待っているだけでは実現しません。皆さん一人ひとりが、仲間たちと手を取り合って、つかみ取るしかないのです。 皆さんの大いなる活躍を、心から期待しています。 最後に、皆さんの未来には様々な壁が待ち受けています。しかし、それ以上にたくさんの可能性にも満ち溢れてもいるのです。「明日の世界は私たちが創っていく」それぐらいの気構えで、今日から始まる新たな一歩を踏み出してください。 春の足音この年度末、冬季オリンピックに沸いた記憶が、まだ鮮やかに残っている中、国際情勢に激変が起こりました。どのような事由があれ、戦争は避けなければなりません。刻々と伝えられる報道で、多くの人が亡くなり、とりわけ子どもたちが苦難に遭う様子に胸が痛みます。遠く離れた地で起こっていることと思わず、国際社会の一員として、中学生なりにしっかりと目を向けてほしいと思います。世界で今何が起こっているのか。どうすれば戦争を防げるのか。何よりもかけがえのない命の大切さに対して思いをはせることが大切だと思います。これから先、ますますグローバル化していく社会で生きていくためにも、そういった視点を身につける必要があります。ともあれ、一刻も早く平和が戻ることを祈っています。 本校の校門をくぐり、校舎に面して木々が植えられています。よく見ると、つぼみが膨らみつつあるものが何本もあり、寒い冬も終わりに近づきつつあることがわかります。明るく暖かな春はもうそこまで来ています。 |
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